ポリオワクチンどう選ぶ?

質問内容

もうすぐポリオの集団接種。3カ月の息子に生ワクチンがいいのか、不活性化ワクチンを打とうか悩みます。

広島市小児科医会の森美喜夫先生が答えます。

　ポリオはポリオウイルスによる病気で、四肢にまひが残ることがあり、「小児まひ」と呼ばれています。このまひは一生治りません。治療法はなく予防接種が重要です。
　わが国のワクチンは口から飲む生ワクチンで、とても効果があります。しかし、非常にまれに、ワクチンを飲んだ子や周りの人にポリオを発症することがあります。その頻度は100万回に1.4人とされています。
　欧米では病原性のない不活性化ワクチンが使用されており、不活性化ワクチンでポリオを発症することはありません。わが国ではこのワクチンはまだ認可されておらず、個人輸入している医療機関があります。
　ただ、未承認ワクチンなので事故に対して国の補償がありません。また不活性化ワクチンなので、発熱やごくまれにアナフィラキシーを起こすなどの欠点もあります。
　国は遅くとも来春までに不活性化ワクチンへの切り替えを予定しています。今春は接種せず、待って国の不活性化ポリオを接種することもできます。ですが待つ間に生ワクチンを飲んだ子どもから感染する可能性があります。野生のポリオは中央アジアなどで流行していますので国内へ持ち込まれる可能性もあります。
　今回のポリオ接種はどの選択にもわずかなリスクがあります。皆さん悩まれるでしょうが、各自でリスクを考え、選んでもらうしかないのが実情です。

(参照元：中国新聞 2012.04.17 朝刊)