口コミ内容・評価
仲の良いおばあさん患者さんのSさんがいた。歩けずいつも車いすだった。病状は重くオムツをしていた。
ぼくとは仲が良かった。
一緒にテレビをよく見た。40歳くらい年の差があるだろうに「あなたのそばにいたい。」とか「あなたと結婚したい。」と言われた時には照れた。
SさんはOTのカラオケでよく「ちょうちょ」を歌った。80歳くらいだからそういう歌だ。
女性ホールのテレビは畳の上に置いてあるのだが、ぼくは畳に座ってテレビを見ていた。Sさんはぼくの後ろで横になっていた。テレビに徳永英明が出て歌っていた。後ろから徳永英明の歌が聞こえ、「ちょうちょ」しか歌わないSさんが徳永英明の歌を歌っていて、それが結構上手かった。偶々マネしたレベルではなく以前から知っていて歌っているレベルだった。
ぼくはビックリして「Sさん、徳永英明歌えるんですか?」と言った。「明日のカラオケで歌ったらみんな驚きますよ。」と言うと「恥ずかしいです。」と言う。「じゃあ何で今歌ったんですか?」と聞くと「あなたにだけ聞かせたかった。」と言うのだ。
全く、Sさんの爆弾発言には照れる。
Sさんは病院食をあまり食べない。「毒が入っている。」と言うこともある。ところが食事をぼくが持って行って「しっかり食べてくださいね。」と言うとモリモリ食べる。
愛されているんだなあ。
そういう訳でSさんに何かあると看護師に知らせるのはいつもぼくだった。ある日、Sさんがウ○チしてしまった。オムツを交換しなければいけないので詰所に行って夜勤看護師に伝えた。男性看護師Yは「分かりました。」と言ったが、中々来ない。もう1度行くと「分かりました。」と言ったが、また来ない。3度目行って言うと「何ですか!?今、仕事で忙しいんですよ!」と怒鳴った。温厚なぼくもキレた。「Sさんのオムツを交換するのも仕事でしょ!Sさんが気持ちわるがっているから早く来い!」と怒ると、いつも温厚なぼくの剣幕に「分かりました。すぐ、行きます。」と言った。
オムツの交換は嬉しい仕事ではないのでやりたくなかったのだろう。草津病院はそういう病院だ。