おたふくかぜで難聴になるの?
質問内容
小学3年の息子は、まだおたふくかぜにかかっていませんが、かかると難聴になることがあると聞きました。本当ですか。
広島市小児科医会の山本恵先生が答えます。
本当なんですよ。おたふくかぜの原因となるムンプスウイルスが、難聴を引き起こすことがあります。
日本では毎年、300~650人が、ムンプスウイルスによる難聴になると推測されています。ほとんどの場合は、片耳が高度の難聴になり、治療してもほとんど張力は戻りません。また、このウイルスは、感染しても30~40%の人は症状がないまま過ごします。ですから、気が付いたら片耳が聞こえなくなっていた、ということもあり得るのです。
唾液の飛沫で感染して、耳たぶの付け根周囲にある耳下腺が腫れて痛みが出るーというおたふくかぜの症状が出ます。多くは2週間以内に腫れが引いて治ります。ウイルスが脳周囲の髄液に入り込む無菌性髄膜炎が3~10%で起こり、思春期以降の男性の25%に睾丸炎が発生します。
特効薬がないため、ワクチン接種が唯一の予防方法です。ワクチン先進国では、麻疹風疹ワクチンと一緒に、おたふくかぜのワクチンを2接種しています。ワクチンの副反応は、無菌性髄膜炎が数千人に1人、難聴が数百万に1人です。日本では任意接種で、5千~8千円で受けることができます。重症化が怖い病気なので、ワクチン接種をお勧めします。
(参照元:中国新聞 2011.04.26 朝刊)